プロジェクトストーリー
SPECIAL CONTENTS
精密測定機器事業編

このプロジェクトの目的は、航空機エンジンに使用される複雑な形状の部品
「ブリスク」を、速く、正確に測定できる測定機をつくること。
東京精密の既存の測定機でもブリスクを測定することはできましたが、
測定時間においてお客様に満足いただける水準ではありませんでした。
また、完成が見えてきたところでお客様から追加でご要望をいただきましたが、
それも東京精密で前例のない開発だったため、道のりは困難を極めました。
各領域に特化した技術者でチームを組み、4年以上もの歳月をかけて、
世界初の非接触回転プローブ型形状測定および表面粗さ測定の
ハイブリッド測定機の開発を実現させました。

※ブリスクとは、今後成長が見込まれる世界の航空機市場で必要な部品。昨今、測定需要が高まっています。

このプロジェクトの目的は、
航空機エンジンに使用される複雑な
形状の部品「ブリスク」※を、速く、
正確に測定できる測定機をつくること。
東京精密の既存の測定機でも
ブリスクを測定することはできましたが、
測定時間においてお客様に
満足いただける水準ではありませんでした。
また、完成が見えてきたところでお客様から
追加でご要望をいただきましたが、
それも東京精密で前例のない開発
だったため、道のりは困難を極めました。
各領域に特化した技術者で
チームを組み、4年以上もの歳月をかけて、
世界初の非接触回転プローブ型形状測定
および表面粗さ測定のハイブリット測定機の
開発を実現させました。

※ブリスクとは、今後成長が見込まれる世界の航空機市場で必要な部品。昨今、測定需要が高まっています。

技術職(ソフトウェア開発)
2011年入社
情報系専攻
技術職(ソフトウェア開発)
川田
2009年入社
電子系専攻
技術職(機械設計)
田村
2013年入社
機械系専攻

各領域のプロフェッショナルたちが集まり、
各領域のプロフェッショナルたち
が集まり、
速さと正確さを実現するための
プロジェクトを推進。

まず、測定の方法として接触式と非接触式があります。接触式の測定機では、正確さは達成できてもお客様が求める速さが達成できないため、新型の非接触高精度回転プローブを搭載した座標測定機を開発することにしました。このプローブは、複雑な形状をしているブリスクの狭い隙間に入り込むことができ、測定光をあてて非接触で測定することができます。しかし、私はこれまで座標測定機を手がけたことがあまりなかったため、座標の計算や処理などにかなり手こずってしまったのです。そこで、座標測定機のプロである川田さんにも協力してもらうことにしました。

声をかけてもらったときは、純粋にワクワクしました。技術者の方なら分かってもらえると思うのですが、難しそうであるほどモチベーションが上がるんですよね。私が担当したのは、座標測定機のアルゴリズム作成や、動作の検証、点群処理などの精度向上に関わる部分。これまで培ってきた知見をフルに活用して取り組みました。

また、ソフトウェアの製作にはお客様の使い勝手も考慮しました。ブリスクの翼の設計値を入力すれば、コンピュータが自動的に測定プロブラムを作成してくれるソフトウェアを製作するなど、こちらもハードルが高かったと記憶しています。川田さんの力も借りて少しずつ進めていき、高速非接触測定にめどがついてきたところ、お客様から新たに、時間短縮のために表面粗さ測定も行いたいというご要望をいただきました。形状を測定する座標測定機で粗さ測定も行うには、従来の考え方では不可能。そう考え、表面粗さ測定機を取り付けたロボットを連結・連携させることを思いつきました。そこで、ロボットによる自動化技術のチームに所属していた機械設計の田村さんに声をかけました。

正直に言うと、「座標測定機とロボットを連携させて自動で測定するなんて可能なのか?」というのが第一印象でしたね。しかし、そんなことを言っていても仕方がない。何か力になれればという想いで参加を決めました。私の担当は、ロボットの先端に取り付けた表面粗さ測定機で、自動で測定できるよう調整すること。安全面なども考慮しながら進めていきました。

それぞれの強みを掛け合わせたチーム力が、
それぞれの強みを
掛け合わせたチーム力が、
壁を突破するカギになった。

大変だったことを挙げればキリがないのですが、やはり座標測定機とロボットの連携は特に苦労しました。座標測定機とロボットの仕様はまったく別物だし、座標測定機からどんな信号を出してロボットをどう動かすか細かく設定する必要がある。一から設計書を作成し直し、動作の確認と原因の追求を繰り返す日々が続きました。完成の手前で、どうにもならない重要な要素が一つ欠けていることに気づき、「何かいいアイデアはありませんか?」と林さんと川田さんに相談しました。

東京精密の歴史上、例を見ない挑戦だったから、本当に大変でしたよね。田村さんから相談を受け、座標測定機のデータをスムーズにロボットに共有する方法を見つけるため、2週間かけてそれぞれアイデアを練ることにしたんです。私と田村さんが考えてきたのは、ロボットが座標測定機の結果を自分で取りにいく案。川田さんが考えてきたのは真逆で、座標測定機がロボットに結果を送る案で、結果的に川田さんの案をベースに詰めていきました。

あのときは本当に助かりました。当社には各分野に突出した人が集まっているので、「三人寄れば文殊の知恵」という言葉があるように、それぞれの知見を組み合わせることで突破口が見つかるんだなと痛感しました。

その一件に限らず、困ったり悩んだりしたことがあれば都度相談し合いながら進めていきましたよね。今回のプロジェクトは、まさにチームプレーのたまものだったなと思います。

難題に挑戦するからこそ、
大きなやりがいを得ることができる。
大きなやりがいを
得ることができる。

このプロジェクトに参加した当初はワクワクしていたけど、何度も壁にぶち当たり、そのたびに軌道修正して進めていく中で、こんなにも大変なのかとがくぜんとすることも多かったです。とても難しい課題を扱うがゆえの苦労がたくさんありました。その大変さを知っているのに、すでに今新たなプロジェクトに参加しています。苦労すると分かっていても、面白そうだと思ったら飛び込んでしまう。これはもう、技術者の性としかいいようがないと思います(笑)。しかし、大変だからこそメンバーが困っていたら手を差し伸べることができる存在でありたいし、特に若手のサポートはしてあげたいと思います。

私は、参加した当初は「絶対無理だ」と思っていたけれど、無事にプロジェクトが完了したことで、最初は無理だと思うことでも、力を合わせれば実現できるということに気づきました。この経験があるからこそ、今度はもっと難しいプロジェクトに挑戦してみたいと思っています。それに、当社にはそうした難易度の高い技術や製品の開発に一緒に挑戦できる仲間がいるし、年次を問わず挑戦の機会を与える風土が根づいている。この環境を生かして、多様な経験を積んでいきたいです。

たしかに、難題にも果敢に挑戦するのが東京精密らしさの一つだと思います。新たなプロジェクトを発足する際も、チャレンジする人を後押してくれる風土があり、プロジェクトに対する熱意としっかりしたコンセプトがあれば、予算も通りやすい。それに、カールツァイス社などの精密機器メーカーともグローバルパートナーとして提携しているので、豊富なノウハウを生かして新たな技術開発に挑戦していきたいです。

「測る」に向き合い続けてきたからこそ伝えたい、
「測る」に向き合い続けて
きたからこそ伝えたい、
学生への想い。

自分が設計・開発したものの結果が、数値として目に見えるカタチで確認できる。それが、精密測定機器を手がける東京精密で技術職として働く面白みだと思います。「測れないものは、つくれない」とモノづくりの世界では言われますが、自分で開発した測定機で社会に必要とされる工業製品を生み出すことにも貢献できる。そこにワクワクできる人なら、当社で楽しく働くことができるのではないでしょうか。また、当社では部品の一つひとつから測定機全体の開発に携われることが技術者の強みであり、世界初の製品を開発する原動力になっていると思います。

ほかにも、若手のうちからプロジェクトに参加したり、開発を担当したりと実践の機会が多いことも当社の特徴の一つ。覚えるべきことも多いですが、その分裁量が大きかったり、成長スピードが速かったりと得るものも多いため、「自分の力を試したい」「新たな技術をどんどん身につけたい」という方には胸を張ってオススメできます。もちろん、分からないことがあれば相談に乗ってくれる社員が多いので、助け合いながら成長していけます。

そうですね。実践の機会が多いと同時に、お客様からの抽象的な要望に応えるスキルも求められるため、学生のうちから要求されたことの一歩先をいくクセをつけるといいと思います。卒業論文でも、アルバイトでも、サークル活動でもなんでも構いません。何かに取り組む際に、相手の要求の一歩先をいくよう心がけることが、きっと皆さんの力になるはずです。