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計測社汎用計測グループ 小松さんの場合

取材記事 アイデアが少しずつ形になっていく 2005年入社 計測社汎用計測グループ 小松利光さん

温度条件の幅を広げよう

温度条件の幅を広げよう

20℃。粗さ測定機や輪郭測定機が正確な数値を出すことを保証している温度である。これが1℃高いだけでも20ミクロンのものが21ミクロンと認識されるなど、正確な計測が難しくなってしまう。温度特性を向上して正確な測定ができる温度の範囲を広げることは精密測定機器の長年のテーマであった。差動トランス(検出器)の電気的特性が温度によって変化し、そこから誤差が生まれるのではないかと考えられていたものの、これまで有効な対策を打ち出せないでいた。
2006年6月、MIGのサブリーダだった丸山(現リーダ)は、一人の社員に差動トランスの最適化を命じた。その社員が、当時まだ入社2年目になったばかりの若手、小松である。さっそく作業に取りかかるが、差動トランスを最適化したところで誤差を解決することができず、原因もつかめなかった。そこで、誤差の原因を徹底して調べ上げることになった。
「当初は差動トランスの最適化を命じられただけでした。このときはまだ、これだけ手間のかかることになるとは思っていませんでしたよ」と小松は笑顔で話す。

一つひとつの部品をつぶさに検証

一つひとつの部品をつぶさに検証

まず行ったのが部品のデータ収集。誤差の原因となっている部品が何なのかを徹底して調べ上げた。差動トランスだけ、コンピュータだけというように一つひとつの部品を変温室に入れて検査を実施する。一つ調べるのに10時間近くかかるなど、非常に根気のいる作業だ。先輩社員の協力を得ながら夜遅くまでつぶさに部品を検証していく。「このときは大変でした」と振り返るが、これにより、差動トランスだけでなく、実は処理回路(差動トランスから上がってくるデータを処理する回路)も温度によって特性が変わることが判明したのだ。
「もともと処理回路に原因があるのではないかとは思っていました。検査してそれが立証されたときは『やはり!』という感じです。検査するにしても、ある程度予測を立ててから行うことが大切だと分かりました」

思いつきを形に変えていく

思いつきを形に変えていく

誤差を生む要因である差動トランスと処理回路。
小松はこの二つの部品の改善に取りかかった。まず差動トランス。この部品にはコイルが巻いてあるが、コイルの抵抗が温度によって変わり、それに伴って電流も変化し、これが誤差につながっていた。そこで、抵抗の変化を打ち消す回路、つまり温度が変わることで生じる抵抗の変化と逆の動きをする回路をコイルに取り付け、トータルで変化が起きないようにした。
そして処理回路。温度さえ変わらなければ特性に変化は出ない。温度を一定に保つためにはどうすれば良いか――。小松の取った行動は、近くのホームセンターまで走ることだった。そこで手に入れたニクロム線を引き延ばし、基板に巻き付け、即席のヒーターとしたのである。基板を温めることで外の温度が変わっても内部を一定に保てるようにした。
「ヒーターを買うとなると値段も高いし納入されるまでに時間がかかってしまうので、自分で作ろうと思ったんです。ちょっとした思いつきでしたが、やってみたらうまくいきました。アイデアを形にしていくはこんなに楽しいものなんだと実感しました」

「もっともっと良くできる」

「もっともっと良くできる」

これらの取り組みにより温度特性を大きく向上することができ、これまで20℃に限定されていた温度条件を18℃から22℃の間に広げることに成功した。
「原因が分からなかったり、思うように結果が出なかったりと、すんなり解決できなかったからこそいろいろなことを試すことができたのだと思います。理論、組み立て、設計、デバック、原因追及と一連の作業を繰り返し行えたことはとても良い勉強になりました」
この取り組みのコア部分は、製品化の見通しが立っており、今後さまざまな製品への応用が期待されている。しかし小松はまだ十分ではないと首を横に振る。
「もっと良くできるし、まだ試していないアイデアがあります。ぜひそれを形にしたい。納得のいく状態に仕上げた上で製品に載れば開発者冥利に尽きますよね」

実行力とレスポンスが決め手になった

計測社MIGリーダー 丸山聡

計測社MIGリーダ
丸山聡

温度特性は10年以上懸案とされていました。2005年に新工場ができて検査室が移動すると、実験室のデータと差が出ることありました。そこでもっと安定させるために適応範囲を広げられないか改めて検討することにしました。
2年目になったばかりの小松さんに任せたのは、彼は自分の考えを論理的に、はっきりと示して実行に移せること、レスポンスがいいことが理由です。ホームセンターに必要となる部材をその日に集めにいくなど、たいしたことではないように思われるかもしれませんがそこまでやる人はなかなかいないものです。自分で解決策を考え、それを形にしていける。技術者として大切なものを彼は十分に備えていると思います。
今回の取り組みの中で小松さんが成長している様子を手に取るように感じました。これからも高い壁を自らの力で乗り越えていってほしいと思います。

小松さんの一日 9:00…出社、スケジュール確認・調整 9:20…試作評価メニュー作り 12:00…昼食 12:50…開発進捗会議 14:30…試作評価 16:30…データまとめ 19:00…退社 就活中の学生さんにメッセージをどうぞ 自分の納得のいく職を見つけるということは、なかなか難しいことではないでしょうか。しかし働き始めると、自分の毎日がそこにあるわけです。だから限られた時間の中ですが、足を使い情報を集めて、自分の気持ちと向き合って、ぜひやりたい仕事に就けるようがんばってください。

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