品質を支える、最後の砦として。

小塩 潤三

半導体社 テスト技術部
プローバシステムグループ
理工学研究科 物理学専攻 修了
2012年入社

装置の美しさが、僕を魅了した。

「この世にないものをつくってみたい」
そんな思いから、大学では物理を学び、超伝導材料をつくるなど充実した日々を過ごしていた小塩だが、大学で学んでいくうちに、研究者よりも社会に出てみたいと考えるようになる。
「研究者の研究が社会で活かされるのは、遠い未来になることが多い。自分が生きている間に目に見える価値を社会に届けたいと思ったんです」
それが、企業に就職しようと思ったきっかけだ。こだわったのは「世界一のもの」をつくっていること。そんな小塩は、業界をリードし、オンリーワンの製品を誇る東京精密と運命の出会いを果たす。入社の決め手になったのは、物理を学んだ者にしかわからない美学だった。
「製品が美しかった。それがいちばんの理由でした。見た目のデザインではなく、機能的な美しさがそこにはあった。設計において、物理の原則が見事に活かされていました」
その美しさは、東京精密の技術力の裏付けでもある。そして、その技術が世の中に確かな価値をもたらす身近な製品に活かされている……。ここでなら、自らの望んだ仕事ができる。小塩は己の輝かしい未来を思い描いていた。

顧客の期待を超える。そこに価値がある。

顧客と向き合い、新しい機能を実現する。それが、アプリケーションエンジニアの使命だ。主な仕事は、製品開発時の「仕様決め」とリリース後の「品質サポート」の二つ。小塩はテスト技術部に配属され、ウェーハの検査工程で使用されるプロービングマシンの仕様決めや基礎評価、海外現地法人と連携した品質サポートを担当している。製品の「最初と最後を担当する仕事」と話す小塩は、彼ならではのこだわりを持って仕事に臨んでいる。
「製品仕様を決めるときも、品質サポートを行うときも、お客さまが期待する以上の品質を提供することを心がけています。要求仕様に応えるだけでは、お客さまには満足していただけないし、その仕事をするのは僕でなくてもいいはず。100%を超えていく。そこにアプリケーションエンジニアの存在価値はあるのだと思っています」
グローバルにビジネスを展開する東京精密だけに、製品を使う顧客は世界中に広がっている。「品質サポート」を担当するアプリケーションエンジニアは海外の現地法人と連携しながらサポートに当たる。装置の機能が最大限に発揮されない場合は、現地法人と連携を取りながら原因を追究。担当部署にフィードバックし原因の追究を行うのだが、ここに関わるアプリケーションエンジニアには、メカからソフトまで、幅広い知識が要求される。しかも、その原因はさまざま。使い方を間違えるオペレーションミスもあれば、顧客自身で装置をカスタマイズしていることだってある。
「大切なのは、あらゆる可能性を想定して原因を追究していくこと。その上で『なぜ、そうなるのか』を見極めていくのです。知識を学んでおくことも必要ですが、何よりも仕事を通じて得られる『現場知』を重視しています」

すべてに応えてこそ、一人前のエンジニア。

とはいえ、現地法人のスタッフでは対応が難しく、自ら顧客先へ出向くことも多い。海外への長期滞在もしばしばあるそうだ。小塩自身も、台湾に3か月間の滞在経験がある。
「さまざまな客先を回りましたが、通訳は介さず英語でコミュニケーションを取っていました。お客さまは知識のある方ばかりなので、そこまで難しい話ではありません。エンジニアは技術で通じ合える。言葉で伝えづらい部分は、絵を描いて伝えるなど工夫をしました」
小塩には、忘れられない案件がある。ある顧客において、装置の納入時に、現地スタッフが対応に苦慮し、顧客の生産がストップしてしまう事態が起きた。場合によっては、顧客の製品が納期に間に合わなくなる。小塩はすぐに客先に向かい、つきっきりで対応に当たった。
「お客さまの要望一つひとつに真摯に応え、最善を尽くす努力をしました。何とかお客さまの納期を守れたことで、強い信頼関係を築くことができました」
製品を納入しただけで、仕事は終わらない。こうした信頼を積み重ねることで、東京精密の製品は「世界No.1」の頂へと登ってきた。「私たちは、最後の砦なんです」。小塩の言葉には、東京精密の品質を支える、強い自覚と誇りを感じさせる。
「自分なんてまだまだ。何でも応えられる先輩を見ていると、これこそ一人前のエンジニアだと痛感させられます。自分の案件で経験を積むことはもちろん、先輩方の『現場知』に学ぶことでもっともっと成長していきたいと思っています。そして、将来は半導体の中心であるアメリカを担当し、技術と見識を深めていきたいですね」

休日の過ごし方

旅が好きなので、一人でヨーロッパに行ったりしています。とくに食べることは大好きなので、おいしいものには目がありません。台湾に滞在していたときも、いろいろと食べ歩いていましたね。北はシューマイ、南は牛肉・ちまき。脂っこいですが、病みつきになる味でした。